弊社取締役である山川に加え、SCALE建築設計事務所代表の藤岡佑介氏とでウェブセミナー「99%のプロが知らない。リフォームの最適間取り提案術」を開催しました。セミナーには住宅メーカー様や設計事務所様、リフォーム会社様など住宅業界の各方面様々な方、286名にお申込みいただきました。本記事ではセミナーの最後に参加者様よりいただいた質問とその回答をご紹介いたします。他事務所の建築家さんに質問できる機会は貴重ということもあり、たくさんのご質問をいただきました。設計時に意識しているポイントや打ち合わせ手法についてお答えしています。今回のセミナーにはリフォーム会社様にもご参加いただいておりますが、madreeデータバンクは新築注文住宅を施工される工務店・ハウスメーカー様向けとなっております。弊社に登録している建築家に設計業務を外注できる「設計支援サービス」はリフォーム会社様、工務店・ハウスメーカー様ともにご活用いただける内容となっております。リフォーム関連のご質問に関しても、講師それぞれの経験を踏まえお答えしておりますので、すべての事業者様のご参考になれば幸いです。藤岡 佑介/ Yusuke Fujioka SCALE建築設計事務所 一級建築士1987年愛知県名古屋市生まれ。2009年に信州大学工学部建築学科、2011年に同大学大学院を修了。2011年〜2015年に(株)シーラカンスアンドアソシエイツにて小学校、学童保育所、住宅等の設計監理業務に従事。2015年〜2021年は中日設計(株)にて設計監理に従事し、主にクリニックの設計監理業務を担当。2021年に独立起業。個性と合理性のバランスの取れたデザインを得意とする。<SCALE建築設計事務所のHPはこちら>山川 紋/ Aya Yamakawa スタジオアンビルト株式会社 取締役1981年愛知県名古屋市生まれ。名古屋工業大学卒。 株式会社リクルートにてWEBマーケ、商品開発。2011年横浜市で建築設計事務所を設立、運営。 住宅設計、リノベーションのデザインを行う。2017年 スタジオアンビルト株式会社 取締役就任。藤岡氏へのご質問【Q1】間取り作成に時間はどのくらいかけられますか?藤岡氏:ヒアリング~ファーストプランまでだいたい1週間くらい、ファーストプラン提示~セカンドプランまでの1週間くらいです。そこまでの打ち合わせでだいたいのことが決まってきたら詳細プランに入っていくわけですけども、そのあとは1ヵ月くらいの期間を取って、申請に対応できる図面をそろえていくようにしています。【Q2】間取りは紙に手描きですか?ipadなどで描いておられますか?藤岡氏:紙に描いています。昔から紙に描いているのもありますが、サインペンやコピックの風合いのある図面をプレゼントとしてお渡しすると喜んでいただけることも多いので紙に描くようにしています。【Q3】施主様との打ち合わせはリアルとオンラインのどちらが割合が大きいですか?藤岡氏:リアルが多いですし、私自身のもどちらかというとリアルのほうがいいかなと思っています。微妙なニュアンスはリアルの方が伝わりやすいと思うのでなるべくリアルでの打ち合わせをするよう心掛けています。【Q4】間取りなどの提案にあまり時間をかけることができないことが現状あります。その場合、設計段階で特に気を付けなければいけない大事なことはありますか?藤岡氏:私も時間がない案件が多いですが、ある程度割り切って作成しています。初期段階は質よりも量が重要だと思っているので、一案1時間など時間を決めて作成しています。それをお見せして、そこから「どう思いますか?」といったヒアリングのネタにするイメージで間取りを使っています。あとは限られた時間の中でベストを尽くす意識で作成し、そんな現状もお客様にお話ししつつ、その中でお客様と一緒に頑張って作っていきましょうとお話することが多いです。【Q5】設計一年目です。プランのご説明でお客様に暮らしのイメージを持っていただきたいのですが、図面の説明ばかりで説明に面白みがないように感じます。お二方のプランの説明を聞いていてすごくイメージしやすかったのですが意識されていることはありますか?山川:お客様としては図面がどうかというよりも、新しいおうちでどういった暮らしができるのか、どういった生活スタイルに変わるのかが知りたいと思うので、まずはそこを中心にお話できるといいと思います。あとは図面の見方も教えてあげられるとお客様もプロならではの意見としてとらえていただけると思います。藤岡氏:私たちの描く図面やスケッチは話のネタだと思っているのでその説明をするというよりも、それを見てお客様と話をしていくことを意識しています。図面の説明をしようとは思っていないですね。【Q6】要望によって外部や内部のデザインが崩れてしまいそうなときはお客様へはどう対応していますか?藤岡氏:そういうことはよくありますね。それでもこうしたいといった要望が出てきたからには一度チャレンジしてみてご提案するところまではやります。チャレンジしてみたけれど、こういった点が気になりますといったことは正直に伝えて、そのうえでお施主様がどちらをとるかということを相談していっています。必ずこうしたい、デザインはこうあるべきといった思いは僕自身は思っていないのでそれも含めて一緒に作っていくというスタンスが一番いいかなと思っています。【Q7】お客様が相見積もりで間取りをほかの会社に見せてしまうことについてどのように考えていますか?また防ぐようにしていますか?藤岡氏:防ぎようがないと思っています。間取りレベルの情報は世の中にあふれていますし、木造であれば間取りはマスが決まったパズルのようなものなので、そこはしょうがないと思っています。ですが、間取りだけでは建築は建たないですし、そこから先の立体的な空間の使い方などはそこからどんどん進んでいって実現するものだと思っています。【Q8】間取りを考えるうえで、現場確認や隣家との関係性などはどのようにされていますか?藤岡氏:かなり実働的な話ですが非常に気を付けています。現場には何度も足を運びますし、役所調査も入念に行います。着工した際には、施工会社と共に周辺へ挨拶へ伺います。我々は設計をしたらその場を離れてしまいますが、戸建てを建てられる方は住まわれてからずっとそこにいるのでそのあたりの注意はかなり慎重に行うように心掛けています。マドリーへのご質問【Q9】プラン提案時の説明の有無を教えてください。(設計士さんの文章が付くかなど)山川:設計士さんのコメントが付いています。[全体のコンセプト]や[各階のポイント][面積表]などの情報を掲載しています。お客様へも同じ情報を間取りと共にお渡しし、評価いただいています。【Q10】マドリーはリフォームリノベーションにも対応しているのでしょうか?対応していないようでしたら、今後対応するなど検討はしていらっしゃるのでしょうか?山川:もともとマドリーは一般のお客様向けのサービスでしたが、住宅事業者様の設計の手が足りないといったお話もよく耳にしましたので、法人向け設計支援サービスも展開しており、図面・設計プラン・CGパースなどの作成をご依頼いただくことが可能です。こちらのサービスではリフォームの案件もご相談可能となっていますのでよろしければご相談ください。リフォーム関連のご質問【Q11】リフォーム案件の場合、新築と違って特別に気を付けることはありますか?藤岡氏:自由度が新築に比べて低いので、提案できる幅が限られてくる点に注意が必要だと思います。そうなってくるとどこにアイデアを発揮していくというとディティールの部分になります。間取りではなくもっと細かい家具の作り方などを話題にしていって空間をどうやって素敵に作るかを詳しく話していくことが多いです。総合的に空間を作っていくことが重要だと思います。【Q12】リフォームでのヒアリングで注視していることは何ですか?藤岡氏:新築と同じような考え方で、ヒアリングであまり聞きすぎないようにしています。リフォームでは部屋の形が決まっていたり、やれることの選択肢が絞られてくるのでそれを予測できる範囲で先にこちらから提示してしまいます。その後予算に応じて決定していきます。ヒアリングでは工夫しても核心に迫れない場合があるので、間取りで”形”として示してしまうのが一番早い方法だと考えています。【Q13】マンションリノベーションで気を付けていることや意識していることはありますか?山川:マンションのリノベーションでも水回りの動線計画といったところは同様に考えていく必要がありますが、マンションの場合は制約が多い中で、いかにちょっとした工事費がかからない工夫でお客様に納得していただけるかということを意識しています。【Q14】間取りを変えたいという要望がお客様から無い場合にも、こちらから変えますかとプッシュした提案はしますか?山川:既存の間取りがある分、その間取りがいいのではないかという思いが強い場合もありますよね。その場合でも、一度間取りについては白紙に戻してヒアリングを行い、「どういう暮らしがしたいのか」を聞いたうえで、それを叶えるためには間取りを変えずに機能を変えたり、壁を1枚外すだけでいいのか、それとも全体を変える必要があるのかをご説明していきます。ご提案はご予算に応じて松・竹・梅といったパターンを用意して提案することが多いです。まとめ今回はセミナーの最後に参加者様よりいただいた質問をご紹介しました。お客様への対応や提案は十人十色な部分もあり、なかなか一様にはならないものですが、ご提案のバリエーションを増やすといった意味で参考にしていただければ幸いです。