最近、インスタグラムの子育てアカウントなどでもよく見かけるようになった「リビングにテレビを置かない」というスタイル。かわりに注目されているのが、リビングの壁に映像を投影し、テレビ番組や映画、ゲームを楽しむ間取りです。今回は、なぜこのスタイルが選ばれているのか、そして設計・提案時に押さえておきたいポイントを、間取り実例とあわせてご紹介します。人気の理由インテリアがすっきりするテレビ本体・テレビ台・配線が不要になり、壁面をフラットに保てます。生活感の出やすい配線類や、不使用時に主張しがちな黒い画面もないため、インテリア全体の印象がすっきりまとまります。子育て世代のニーズにフィットする配線へのいたずらや、テレビ台の角でのケガといった心配が減るほか、大画面でも壁に溶け込むため圧迫感がありません。使わないときは「ただの壁」に戻るため、バースデイフォトの背景などとして活用できるのも、子育て世代ならではの嬉しいポイントです。目にやさしい映像体験テレビ(発光型)とプロジェクター(壁面反射型)では、光の届き方が異なります。反射光による映像は目への負担を感じにくいとされ、映像視聴の時間が増えがちな子育て家庭に選ばれる理由の一つとなっています。間取り実例北西角地でも明るい吹き抜けリビングの間取り1階床面積:69.14㎡ (20.91坪)2階床面積:49.68㎡ (15.03坪) 延床面積:118.82㎡ (35.94坪)間取りのポイント明るく開放感のあるリビング 北西向きの敷地でも採光を確保できるよう、南西側に吹抜けリビングを配置。2階の南側・西側に設けた高窓から光を取り込み、一日を通して明るさを感じられる空間になっています。リビングにはプロジェクター用の広い壁面も確保されています。フレキシブルに使えるL型LDK リビングとダイニングの間を間仕切り扉にすることで、普段は開放して約20帖のワンルームとして、来客時は扉を閉めて独立したダイニングキッチンとして使い分けられます。リビングとつながる畳コーナー リビングの一角に、引き込み戸で仕切れる畳コーナーを配置。普段はリビングと一体的に使い、来客時は仕切って客間としても活用できます。廊下側からも出入りできるため、急な来客にも対応しやすい間取りです。小上がりと映写壁で家族時間を楽しむ間取り1階床面積:47.03㎡ (14.23坪)2階床面積:47.03㎡ (14.23坪) 延床面積:94.06㎡ (28.45坪)間取りのポイント小上がりのLDKリビング部分を約30cmの小上がりにすることで、段差に腰かけてキッチン・ダイニング側と会話したり、家族それぞれが好きな場所でくつろいだりできる空間に。段差下を収納にすれば、おもちゃなど散らかりやすいものをしまえます。プロジェクター投影を想定した壁面 テレビを置かない前提の間取りとして、リビング北側の壁はあえて窓を設けずに残し、プロジェクター投影用のスペースとして確保されています。リビング奥のスタディスペース 幅約290cm・奥行き約64cmのカウンターを設け、両側には造り付けの棚を配置。本や書類を置く場所として使えるほか、小上がりと合わせて掘りごたつ風にアレンジすることもできます。設置機器のトレンド:照明一体型プロジェクター注目されているのが、天井照明と一体になったタイプのプロジェクターです。普段はダウンライトやシーリングライトとして機能し、必要なときだけ映像を投影できるため、据え置き型や天吊り型のように「プロジェクターがある」こと自体を意識させません。インテリアの邪魔をせず、生活動線に干渉しない点が、子育て世代の住まいに合っていると言えるでしょう。一方で、映像の明るさや投影距離は機種によって仕様が異なるため、間取り設計の段階から機器の特性を踏まえた検討が必要です。押さえておきたいポイント① 明るさ(輝度)への配慮機種によって、昼間の明るい部屋でも投影できるタイプと、部屋を暗くする必要があるタイプがあります。リビングのように日中の利用シーンが多い空間では、輝度の高い機種を選ぶか、光をコントロールできる窓まわり計画とセットで検討することが求められます。② プロジェクターの設置位置投影距離は画面サイズや設置位置に直結する要素ですが、焦点距離は機種によって大きく異なります。そのため、間取り設計の初期段階である程度機種を絞り込み、投影壁とプロジェクターの位置関係を決めておくことが重要です。あわせて、設置場所には電源の確保も忘れずに計画しておく必要があります。③ 外光の入り方との連動窓の位置や方角によって、投影面への光の映り込みが変わります。カーテンやブラインドの計画とあわせて、外光をコントロールできる設計にしておくことで、時間帯を問わず快適に映像を楽しめる空間になります。まとめテレビを置かず、壁に映像を投影して楽しむスタイルは、インテリアのすっきり感・子育て世代ならではの安心感・目にやさしい視聴環境という複数の理由から支持を広げています。一方で、明るさ・投影距離・外光といった技術的な検討ポイントも多く、設計段階からの丁寧な提案が求められるトレンドでもあります。今後の間取り提案の一つの選択肢として、ぜひ参考にしてみてください。