住宅のトレンドを追いながら、お客さまに寄り添った間取り提案をする。住宅営業のファーストプラン提案は、非常に難しいお仕事です。そんなファーストプラン提案時に何かお役に建てる情報はないか?と、私たちmadreeデータバンクの2人が、2024年の住宅のトレンドを少しだけ予想してみたいと思います。私たちが運営しているmadreeや見聞きしている住宅業界の情報を踏まえて、これからのトレンドを対談形式でお届けします。対談者のご紹介まず初めに本日、対談をしてくださったお二人をご紹介したいと思います。マーケティング部長の西垣と、ライター兼営業サポートの山田です。西垣 有真スタジオアンビルト株式会社マーケティング部長。madree(マドリー)のインスタグラムを運用している中のひと。マーケティング全般を担当し、企画から実行まで担っている。30年間名古屋に住んだのち、関東へ引っ越して勤務。好きなことは渋い居酒屋めぐり。山田 祥子スタジオアンビルト株式会社ライター兼営業サポート。全国規模のハウスメーカー営業職に勤務したのち、出産を機に退職。営業と子育ての経験を生かして、家づくりに役立ててもらえる記事を執筆中。休みの日は家族とキャンプ、ボルダリングに没頭している。幅広い層に支持され始めている「コンパクトハウス」ーーー本日はよろしくお願いいたします。こちらのインタビュー(※)では、「ウッドショックによる物価高騰が建築業界で続くなか、狭小住宅のようなコンパクトな住居が注目され始めている」とお話しされていましたね。小さな住まいが注目されるのは、少子化や二世帯住宅の減少も関係しているのでしょうか?※関連記事:住宅間取りは社会のトレンドを映す鏡?2023年の間取りのトレンドを振り返る。西垣:確かに、少子化の影響や二世帯住宅の減少も一因としてありますね。そのほかにも、今はウッドショックの影響で住宅価格が非常に高いです。ウッドショック前より20%ほど原価が上がっていますが、所得も比例して増えているわけではないので、必然と土地や上物がコンパクトになっています。また早期の建物・土地の売却を考えている方も増えた印象です。お金に余裕のある方は、家族構成や暮らし方に合わせて建物・土地を変えればいい、という方も多いです。そういった方は、建物よりも価値が下がりにくい立地にこだわる傾向があります。立地にこだわると、地価が高いところを選ばざるを得ないので、結果として住宅はコンパクトになることが多いです。山田:お金を持っている方こそ、住み替えの可能性も踏まえて、住宅の資産性にこだわる傾向がありますね。西垣:東京都内では住宅資金の8割を土地に充てることもありますからね。地方ではまだそれほどではありませんが、これから先、コンパクトハウスはより広まるような気がしています。山田:そうですね。お金に余裕がある/ないに関わらず、私も2024年にはコンパクトハウスが再び注目されるような気がしています。住宅設備に力を入れて、快適かつ効率的な暮らしをーーーそのあたりはやはり業界を広く見ているmadreeだからこそ、わかることかもしれませんね。住宅会社や工務店にお勤めの方でも、その業界のトレンドを把握するって難しいですよね。どうしても近視眼的に見てしまいますし...。住宅会社や工務店の方々にお伝えできるような、2024年に注目のポイントが他にもあれば教えてください。山田:最近は住宅そのものではなく、住宅設備のほうに注目が集まっていますね。設備を充実させて、便利に暮らすことに重きを置いている人が増えているように思います。それこそ「コンパクトで豊かな暮らし」です。たとえば、パナソニック株式会社が昨年末に新しく発売したフロントオープンタイプの食器洗い乾燥機なんかは評判が良いですね。ああいった設備を住宅会社が知っている上で、間取りや住宅の提案ができると良いですね。西垣:私も見ましたけど、とても良かったですね。これまでの引き出し型の食洗機よりも大きく開いてたくさん洗えるので、もうこまごまと洗わずに済むのです。特に大家族は重宝しますよね。ーーーそれは素晴らしいですね。ですが住宅設備を充実させるためには、やはりスペースをしっかり確保しなければならないのではないでしょうか?山田:いえ、決してそんなことはありません。今、ガス衣類乾燥機の乾太くんがとても人気なのですが、あれは洗濯機の上部にも取り付けられるので、そんなに広くない脱衣所でも容易に設置できるんです。住宅設備を開発する際にも、昨今の土地や建物の広さ事情を踏まえて開発されているので、大きくスペースをとるようなものではありません。パナソニックの食洗機にしても、必要なキッチンスペースは既存のものとそんなに変わりません。少しだけ食洗機下の収納スペースが狭くなるくらいのものですので、多くのご家庭で採用できる設備です。西垣:共働き世帯が増えたり、家事を家族でシェアするようになったことで、より住宅設備を充実させて、快適かつ効率的な暮らしを目指す方が増えている印象ですね。ーーー住宅には、その時その時の人々の暮らし方や生き方が、色濃く反映されるんですね。西垣:あと住宅設備で言えば、何と言っても全館空調のご要望が多いです。家のどこにいても暑さや寒さを感じることがなくなりますし、エアコンに比べてメンテナンスも簡単です。また昨今のスタイリッシュな家を目指すと、エアコンがなくなり内観のデザインがシンプルになる、というのも全館空調のメリットです。導入される方は非常に多い印象です。山田:全館空調はメリットも大きいですが、デメリットもあります。たとえば電気代です。1部屋ずつ温めるエアコンと違い、家全体を温めることになるので、電気代はかかることが多いです。ものによっては1階と2階の空調システムを分けることもできるので、ご予算や暮らし方によって選ぶことができますね。ーーー居室ごとに設定できないのはデメリットと言えるかもしれませんね。他にデメリットはありますか?山田:機械室をどこかに設けなければならなかったり、天井高に制限がでてきたり、送風窓が必要だったりして、間取りやデザインが制限されるところはデメリットですね。ーーーどの住宅会社や工務店でも全館空調の施工はできるのでしょうか?山田:施工できる会社とできない会社は分かれます。全館空調の施工実績がなければ設計にも労力がかかるため、断っている工務店も多いです。「じゃあmadreeデータバンクのデータを参考にしたらいいのでは?」と考えられるかもしれませんが、残念ながらmadreeでは平面図しか公開していなくて、断面図が必要になる全館空調の設計時にはあまり参考にならないのです。そのあたりはまだまだサービスの伸び代になりますね。西垣:対応できない工務店があるからこそ、住宅会社が他社との差別化として全館空調を取り入れているイメージがあります。間取りのプロデュースができる建売や分譲住宅とは?ーーー今後は全館空調の設計サポートもできるようになるといいですね。他のトレンドがあれば教えてください。西垣:建売住宅を扱い始めた住宅会社がちょこちょこ出てきていますね。しかし建売住宅でも間取りにこだわりたいという人が少なくありません。そのような人のために、間取りのプロデュースができる建売や分譲住宅を打ち出す会社が出てきそうです。ーーーほう!そのサービスは面白いですね!自分で間取りを決められるとなった場合、どのような間取りのニーズがありそうでしょうか?西垣:LDKは一体型で、なるべく広く取ろうとされるニーズが多いです。たとえばこちらの間取りは料理好きの夫婦が採用したもので、調理台とは別に作業台を確保しています。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.958)逆に寝室や子ども部屋は小さくなっているような気がしますね。限りある予算を、このふたつの居室から削ることによって、総額を抑えるようにしている印象です。寝室と言えば、今は「夫婦別の寝室が欲しい」と希望する人も増えていますね。エアコンの設定温度やいびきの問題も解決できますし。若いご夫婦だけではなく、結婚歴が長いご夫婦からの人気も高いです。完全別室にするのではなく、個室を家具で仕切って別々のスペースを作る人もいます。山田:寝室のウォークインクローゼットにデスクを置いて、自分のスペースを作っている人もいますよね。「ご主人に書斎を、奥様に家事室を」は、もう今の時代NGワードですが、個室を求める方は確かにたくさんいらっしゃいます。また家事と言えば、今の時代は家事をするところをオープンにしている家庭が多いようです。ファミリークローゼットやウォークスルークローゼットが好例ですね。「家事はみんなでするものだ」という意識を持たせて、シェアすることができます。家事シェアができる間取りのトレンドは、これからもしばらく続くような気がします。西垣:確かにそうですね。一人で過ごすのが好きな人が増えているというデータもあり、「自分のことは自分でやる」という風潮が広まっているのかもしれませんね。まとめこのようにmadreeデータバンクでは常に最新のトレンドをチェックして、おすすめの間取りをデータとして取り揃えています。「2024年こそマンネリを脱却して、新しい顧客層を開拓したい」「同業他社とはひと味違う間取りを提案したい」とお考えの方は、ぜひこちらから資料請求をお願いいたします。