「営業」という仕事の中でも、「住宅営業」はかなり難易度が高く、高いパフォーマンスを出し続けるのが難しい仕事のひとつです。1つの案件でお客様と関わる時間が長く、住宅営業に必要な知識の不足・お客さまのニーズをキャッチアップできない・トレンドを知らない...など、ほんの小さな要素によって受注率が大きく変動するためです。そして、失注すると具体的な理由なくお客様が離れる場合もあり、どのように改善をかければいいのかハッキリしない場合も。当記事ではお客様へ実際に聞いた、選びたくなる営業マン・選びたくない営業マンに関するアンケートをもとに、住宅営業の特徴や流れといった基礎知識〜トップ営業マンが押さえている営業のコツまでを幅広くご紹介します。そもそも住宅営業とは?他業種の営業との違い商品やサービスの販促を行う営業は、住宅業界のみならずほぼすべての業種で必要とされる職種です。しかし、顧客のニーズや傾向、契約までの流れは業界によって大きく変わります。住宅業界の営業にはどのような特徴があるのでしょうか。お客さまの「一生一度の買い物」をサポートするのが住宅営業多くの人にとって住宅は人生で一番高い買い物であり、一生に一度の買い物になる人も少なくありません。そのため商品(=住宅)に対する想いが非常に強く、住宅会社の選定には極めて慎重になる傾向があります。さらには以下ステップごとに夫婦や親、子どもなど、意思決定に関わる人数が多いことも相まって、契約締結への過程が長期化しがちです。おのずとお客さまと顔を合わせる回数が増え、営業マンの知識・情報量や接客態度も判断材料のひとつとしてみなされやすくなります。このような特徴から、一般的に住宅営業は他業種に比べてハードルが高いと言われています。成約にたどりつくまでには、誠実さやコミュニケーション能力、そして豊富な住宅の専門知識が必須です。住宅の営業マンに求められる知識は、幅が広い。住宅営業では、住宅の基礎知識からはじまり、ファイナンスの知識、自社の強みや顧客層への理解など、幅広い知識が求められます。住宅の基礎知識と一言で言っても、構造や工法、建材、間取りなどの住宅そのものの知識から宅建業法や建築基準法といった法律の知識まで多岐にわたり、資格の取得を義務付けている住宅会社も珍しくありません。ファイナンスに関してはローンや保険の知識をもとに、お客様の資産状況を見て適切な返済プランを提案できる力が求められます。最後に、多数存在する住宅会社のなかから自社を選んでもらうためには、他社との違いをよく理解し、自社ならではの強みをターゲットに訴求して成約を目指します。このように住宅営業マンは、幅広い知識を網羅している必要があります。未経験で就職・転職した人には勉強が必須となる業界です。トレンドや法律は常に変わるため、ベテラン営業マンも日々の勉強が欠かせません。求められる知識まとめ・住宅の基礎知識(構造や工法から宅建業や建築基準法など)・ファイナンスの知識・自社の強み・顧客理解・住宅ローン、保険etc住宅営業の流れお客様の住宅づくりを万全の体制でサポートできるように、営業の流れをもう一度確認しておきましょう。全体像を把握しておくことで、成約までのステップを順調に踏めるようになります。①広告・集客活動まずは住宅の購入を検討している顧客を見つけないことには、話が始まりません。集客方法は以下の方法をはじめ、さまざまな方法があります。インターネットや雑誌、CM、チラシ経由の獲得モデルハウスや現場見学会経由の獲得住宅情報サイト経由の獲得広告や宣伝活動に反応があったら、電話やメール、訪問などで初回面談のアポ取りをします。②商談(間取りの提案〜契約)最初の商談では、お客様の理想の住宅や予算についてヒアリングし、ニーズを的確に把握する必要があります。聞き漏らしがないように、ほとんどの営業マンがヒアリングシートを用意して臨んでいるものです。その後、間取りを自身で描く住宅会社も多くあります。ヒアリング内容をもとに、お客様に最適と思われる構造や工法、間取り、性能などを取り入れた住宅プランを提示します。ほとんどのお客様は相見積もりを取っていて、初回提案で契約が決まることはほぼありません。が、ファーストプランはお客様の心をつかむチャンス。ここで信頼関係を構築することで、成約率の向上や今後のお付き合いにつながります。一方で以下は弊社がインスタグラムで募集し、お客様より実際に寄せられた間取りの提案段階で選ばれなかった例。反面教師として参考にしてみてください。③設計申込み〜契約ファーストプランで「ここなら自分の建てたい家ができそう!」と思ってもらうことができれば、設計契約を締結になり、建築請負計画を進めます。④住宅の施工・完成・引き渡し着工から完成までの過程でも変更はつきものです。可能な限りお客様の要望を取り入れて、住宅の完成を目指します。この段階からローンの審査や頭金の支払いなど、金融機関とのやり取りも始まってきます。⑤アフターフォロー住宅を引き渡したらひと段落ですが、それで終わりではありません。修理や補修が必要になったときには、業者に依頼するなどしてアフターケアを行う必要があります。このようにお客様と長い付き合いになるのが、住宅営業の特徴です。売れる住宅営業マン4つの共通点住宅営業の流れは、基本的にどの営業マンでも同じです。では成約率や件数の違いは、どこから出てくるのでしょうか。ここからは成約率が高い住宅営業マンが押さえているポイントについて紹介します。初回接客の準備を万全にしている住宅営業では初回接客の印象が契約を左右することが多いです。初回を失敗すれば、次のチャンスはないでしょう。トップ営業マンはそのことをよく理解していて、初回接客には万全の準備をしています。たとえば、自社の商品や魅力を伝えるアプローチブックやヒアリングシートの用意。初対面のお客様にはどうしても緊張してしまうことがありますが、ツールを使用することによって、要点をスムーズに伝えられたり、逆に聞き出したりすることができます。加えて、トップ営業マンは自分自身も商品の一部であることを理解しており、自分の魅力を伝えられる自己PR部分を名刺やサイトにサラッと記載している方も多いですね。ヒアリングスキルが高いトップ営業マンの共通事項として、ヒアリングスキルの高さが挙げられます。どんなに素敵な住宅を提案しても、お客様のニーズや予算に合っていなければ成約には至りません。ニーズを満たすプランを提案するためには、家づくりにおける優先事項や資金計画、現時点での悩みなどを聞き出す能力が必要不可欠です。お客様の真のニーズを引き出すためには、まず心を開いていただく必要があります。そのためトップ営業マンは最初は雑談から入ってお客様との距離を縮め、少しずつ家づくりの話を増やす姿勢をとっています。スケジュール管理が的確住宅営業は長期戦になるため、スケジュール管理が甘くなりがちです。見込み客への訪問を怠っていたら、競合他社に決まっていたというのはよくある話です。その点、トップ営業マンはスケジュール管理に抜かりがありません。仕事の優先順位を常に判断して、タスクを整理し、スケジューリングをしています。この行為を習慣化することによって、時間に追われることなく、営業効率を高められるでしょう。見込み客にも継続的にアピールできるようになります。追客で競合他社と差別化している契約に至るまで、見込み客に対して定期的なアプローチをかけることを「追客」と言います。成約までに時間がかかる住宅営業で、トップ営業マンは他社に流れてしまわぬように、この追客を熱心に行います。その際にはただ様子をうかがうだけではなく、競合物件のアピールポイントや価格を把握して、対策を欠かしません。自社よりも有利な条件を他社が提示しているのであれば、より魅力的な代替案を提示するなどして、何かしらの工夫をしているものです。実際に寄せられた声はこちら住宅会社の決め手は?というアンケートに対して、集まったお声です。やはり担当者の対応力はもちろんのこと、自社の強みとお客様の相性を擦り合わせていくことが大事だと言えます。売上アップのために知っておきたい住宅営業の3つのコツトップ営業マンの住宅営業のコツをまねるのも良いですが、まずできるところからコツコツと改善していくことも大切です。ここからは今日から実践できる住宅営業の3つのコツを紹介します。身だしなみを整える長きにわたってやりとりすることになる住宅営業マンは、人間性や見た目も成約要素のひとつになります。第一印象でより好感を持ってもらえるように、一度身だしなみを見直してみましょう。すっきりした髪型やぴしっとしたスーツの営業マンは、きちんとしていて頼りがいのある印象です。意外と見られがちなのは足元。靴はきれいな状態をキープし、悪天候などで汚れた際には必ずお客様のもとに行く前にふき取りましょう。名刺ケースや営業バッグ、資料を収納するファイルなど、持ち物の状態にも気を配るようにしてください。競合他社を把握する競合他社は、いわばライバルです。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということわざの通り、競合他社が提示しているプランや金額を把握できていれば、対策を取ることができるでしょう。お客様と距離を詰めていく中でさりげなく他社の提案内容を伺えるようにコミュニケーションを図り、他社に勝るプランを考えてみましょう。顧客の性格に合わせつつ自分の意見はしっかり言う「お客様の言うことは絶対」というお客様神話をいまだに信じている営業マンは決して少なくありません。しかし、ただ相手の言うことに合わせているだけでは、振り回されるだけで成約に結びつかず、徒労に終わってしまうことも。自分の意見を伝えなければ、頼りない営業マンと思われるおそれもあります。同じお客様でも旦那様や奥様など、話をする相手の性格や意向に寄り添いつつ、住宅のプロとしての意見ははっきりと伝えましょう。無理難題を頼まれた時には、断る勇気も大切です。