リフォーム産業新聞主催のウェブセミナー「99%のプロが知らない。リフォームの最適間取り提案術」。弊社取締役の山川とSCALE建築設計事務所代表の藤岡佑介氏が登壇し、間取りのトレンド・ヒアリング方法・提案方法をご紹介しました。約280名の住宅業界の方々にご参加いただき、大変反響があった本セミナー。3本立ての第一弾である本記事では、「契約を勝ち取る間取りのポイント」をレポートします。※補足. 本セミナーでご紹介した間取りは、弊社が開発したご施主様向けの間取り作成サービス「madree(マドリー)」で好評だったものです。作成した間取りの一部はInstagramでも公開しており、約17.2万人(2024/03/19現在)のフォロワーから支持を得ています。戸建ての注文住宅の間取りが中心ですが、リフォームでも使える要素です。ぜひ参考にしてくださいね。登壇者紹介登壇者のお二人をご紹介します。藤岡 佑介/SCALE建築設計事務所代表1987年名古屋市生まれ。2011年〜2015年(株)シーラカンスアンドアソシエイツにて、小学校・学童保育所・住宅等の設計管理業務に従事。2015年〜2021年中日設計(株)にて設計管理に従事しクリニックの設計管理業務を担当。2021年に独立起業。山川 紋/スタジオアンビルト取締役1981年愛知県名古屋市生まれ。名古屋工業大学卒。 株式会社リクルートにてWEBマーケ、商品開発。2011年横浜市で建築設計事務所を設立、運営。 住宅設計、リノベーションのデザインを行う。2017年 スタジオアンビルト株式会社 取締役就任。間取りは後から変更できないからこそ、住宅購入時の最重要ポイントに※補足. 本記事は「契約を勝ち取る間取りのポイント」をテーマにしておりますので、弊社山川のパートに終始しています。第二弾、第三弾では藤岡様のパートも十分ございますので、ご期待くださいませ。山川:2022年の住団連の実態調査によると、「住宅購入で重視する点」の第1位は「間取り」です。それも61.8%が重視すると答えているんですね。耐震性や断熱性・気密性も重要視される傾向にありますが、それ以上の方々が間取りを重視しています。地震災害などの緊急時には耐震性が重要視されますが、やはり普段の生活の中でいかに暮らしやすく快適に過ごせるか、というのがお施主様にとっては一番大切です。断熱性や気密性で暖かさや寒さは変わってきますが、熱問題に関しては住宅購入後も空調の使い方次第でコントロールが可能です。一方で、間取りは住宅購入後に変えることは容易ではありません。リフォームでもしない限り変えれませんよね。つまり失敗できない。そういったことからも住宅購入時に「間取り」を重視される方が非常に多いんです。そしてこちらのデータも見ていただきたいです。「間取りが原因で候補から外した会社があるか?」の質問に対し、3人に2人が「ある」と回答しています。「ある」と答えた要因には、「提案された間取りの満足度が低い」ことが挙げられているのも事実です。つまり、住宅会社が作成した間取りとお施主様が希望する間取りにギャップが生じ、結果的に失注につながるケースが多いということではないでしょうか?こういったデータからも、住宅購入の契約に結びつけるためには、間取りのトレンドを知り、お施主様の要望を取り入れた間取りを効率よく作成し提案する、そんな住宅営業が必要だと感じています。人気のある間取りに共通する3つの要素山川:次にmadree(マドリー)のInstagramの中から、「2023年Instagram『いいね数』トップ5の間取り」に共通している3つの要素をご紹介したいと思います。ウォークスルー/裏動線リビング横の和室ランドリールーム(サンルーム)山川:ウォークスルー・裏動線がヒットする理由は、「来客時でもきれいに見せたい」「歩く距離を短くしたい」といった要望があると考えられます。玄関から入った時の見え方を提案すれば、来客目線を配慮した間取りであることを施主様にお伝えしやすくなります。歩く距離に関しては、廊下をなくせば解決です。そもそも従来の住宅は、廊下を介してリビング・洗面・脱衣所に行く動線でした。しかし、今の間取りのトレンドは廊下を通らず直接各部屋にアプローチできる仕様が人気。廊下が存在しない間取りも多いんです。madree(マドリー)で人気の間取りは廊下が中心ではなく、来客から見えない裏側に効率的な動線のある廊下を配置している点が特徴です。(上画像 赤枠部分参照)山川:また小さなお子さまがいる家庭は、畳スペースが必須だと考えます。畳なら柔らかくて冷たくなりすぎないので、お子さまを安心安全に遊ばせられるからです。また、来客の宿泊スペースとしても重宝します。広さは3畳ほどあれば十分だと思います。注意点は、畳スペースのレイアウトです。例えば、キッチンから和室が見える配置にすれば、自然にお子さまを見守れます。常に目が届きやすい位置や、死角が生じない間取りの工夫が大切です。山川:次にランドリールームやサンルームです。これらが人気の理由は、室内干しの需要が増えている傾向があるからです。そのため、室内干しの量・頻度・干すスペースの有無などを事前に確認する必要があります。リフォームでランドリールームを設けるのが難しい場合は、初期の提案でホスクリーンを取りつける場所を明記すれば喜ばれると思います。また、最近は洗面所と脱衣所が離れている間取りも増加傾向にあります。その背景は、帰宅直後に手洗いしたい要望から生まれたと考えられます。玄関ホールの正面(上画像 中央の間取り参照)や、ファミリークローゼットを抜けた先(上画像 右の間取り参照)など、ライフスタイルに合わせて配置しています。洗面所と脱衣所を離して、ランドリールームと脱衣所を併設させる間取りではプライベート空間を明確に分けられるのも利点の一つ。来客が多い家庭では重宝される間取りです。madree(マドリー)で人気の間取り、そのワケを紐解くここからは、上述した3点の要素に注目しながら「2023年Instagram「いいね」数トップ5の間取り」の5位・3位・2位をご紹介します。5位:ウォークスルーの裏動線でリビングがスッキリ片付く家山川:この間取りで特に注目してほしい箇所は、玄関からの動線が2つあることです。1つは土間収納を通る日常使いの動線、もう1つはホールからLDKに行くお客様用の動線に分かれています。土間収納を抜けると、洗面台とファミリークローゼットへつながります。収納に靴やベビーカーを置いて洗面で手を洗い、ファミリークローゼットで衣類を着脱して室内でくつろぐイメージですね。土間収納からファミリークローゼットを抜けて洗面スペースに流れる動線は、madree(マドリー)で非常に人気が高い間取りです。一方、玄関からホールを通るLDK直通の動線は、来客用の表の通路です。ウォークスルーの裏動線があることで、来客時は常にきれいな状態が保てる仕様になっています。2つの動線を配置すれば、忙しい時間帯の渋滞を和らげる効果も期待できます。来客時だけではなく、家族の人数が多い場合も有効な間取りですね。3位:来客から隠して生活感をなくすウォークスルー裏動線の間取り山川:3位の間取りで注目したい点は、「玄関からの2つの動線」「パントリーの中にある冷蔵庫」「物干しテラス直通のランドリールーム」です。「2つの動線」に関して先ほどと違う点は、パントリーを抜けてキッチンへ行ける動線があることです。シューズインクローゼットの横にパントリーを配置すれば、買い出しで重い荷物がある場合でも楽に運べます。また、2つの動線はキッチンを中心とした回遊動線になっているのも特徴です。パントリーからキッチンを抜けて洗面へ行けるため、家事効率もアップします。ちなみにパントリーにも工夫があります。パントリーの中に存在感のある冷蔵庫を入れることで、生活感をなくせます。気を利かせた間取りであるとお施主様に感じてもらえるはずです。さらに、ランドリールームから物干しテラスに直接行ける間取りは人気が高いです。室内干しの需要が多いものの、大きな洗濯物を外干ししたい方の需要を満たしています。ランドリールーム・洗面所・ファミリークローゼットが回遊できる動線は、さらに家事効率が上がると予測できます。2位:キッチン後ろの裏動線が便利!将来は1階で暮らせるほぼ平屋 山川:2位は他の間取りと比べて現実的な広さであり、ほぼ平屋です。玄関から廊下の先が裏動線になっていて、洗面室とトイレはお客様が入れる仕様になっています。これは、洗面と脱衣所を隣接させない配置で生まれた利点ですね。それ以外のプライベートな空間は、廊下の突き当りで完結できる間取りなので、大変魅力的だと思います。この間取りは、将来的に1階だけで生活できるのが特徴です。リビングに小上がりの小さい畳スペースがあったり、ランドリールーム直通のテラスがあったりなど、トレンドを取り入れつつ体に負担がかかりにくい間取りだと思います。裏動線の付近にキッチンを配置しているため、家事動線もスムーズ。このように将来を見据えた間取りは、madree(マドリー)でも非常に人気です。間取りの不満は3つのキーワードで解消できる山川:人気の間取りで共通する要素は、「ウォークスルー・裏動線」「リビング横の和室」「ランドリールーム(サンルーム)」です。この3点のうち1つでもファーストプランでご提案できれば、年代問わず響く間取りになるはずです。注文住宅を検討している方はもちろん、リフォームを検討中の方でも日々の暮らしを便利かつ豊かにしたい想いは根本的に同じだと考えます。ご紹介した要素を拾い上げれば、新築やリフォーム問わず満足度の高い間取りに仕上がると思います。お施主様が間取りを重視する傾向は非常に高いです。ご紹介した要素を取り入れて、ぜひ契約を勝ち取る間取りの提案につなげていただければ幸いです。(第二弾は近日公開予定です!)