弊社が提供する、madreeデータバンクは2023年の6月末からスタートしています。各社に提案する中で、なぜ始めたのか?なにを解決しているのか?といった疑問をもたれることもあり、記事にしてみたいと思いました。それを伝えるため本記事では、スタジオアンビルト社員の西垣が、代表である森下にインタビューをしています。スタジオアンビルト株式会社代表取締役社長 森下敬司 1981年岡山県生まれ。一級建築士。 名古屋工業大学大学院修了後、大成建設株式会社にてオフィスビルや大規模複合施設などの設計に従事。2014年、建築デザイン専門クラウドソーシングSTUDIO UNBUILTをリリース。現在約9,000名以上の建築専門家が利用する建築分野で日本最大級のサービスに成長。2017年、法人化し代表取締役社長に就任。2018年、スマホひとつで建築家に間取りを依頼できるmadreeをリリース。現在、会員数6万人、インスタグラムのフォロワー16万人の人気サービスに成長。これまで累計3.5億円の資金調達を実施。2021年より一般社団法人シェアリングエコノミー協会東海副支部長はじめた理由は、自身の家づくりの経験から。ーーー本日はよろしくお願いいたします。早速ですが初めに、madreeデータバンクを始めた理由を伺いたいです!森下:実はいま、自分の注文住宅を建てようとしています。家づくりをする中で、自分の理想の家が建てられるのか?というイメージがあまりつかないまま土地契約をしたんですね。その時に「家を建てる方々は、こんな不安を持ったまま人生最大の買い物の決断をされているのか。もう少し具体的に家のイメージを持った状態で、決断ができた方がいいな」と思ったのが大きな理由です。madreeデータバンクを導入している住宅会社さまがあれば、もう少しイメージを膨らませた状態で契約できたのでは?と考えています。基本的に家づくりをはじめる際、住宅会社さまから見せてもらえるのは過去のお客さま事例をもとにした、住宅の外観・住宅会社の標準仕様や特徴などです。この時、間取り・建物も含めた予算感は契約後に変動することも多いので、なかなか住宅会社さまも提示しづらく、見せてもらえないことがあるんですよね。家づくりを始める前にわかったこと・・・住宅会社さまの過去の事例・外観・標準仕様家づくりを始める前にわからなかったこと・・・自分が理想とする暮らしがおくれる、家が建てられるかどうかぼくはそのとき土地を買おうとしていて、間取りと予算感を提案いただけたらすぐ契約に踏み切る準備はできていたけど、やはりわかりませんでした。ーーー住宅会社さまは、土地を買ったら間取りを提案しようと思ってたんですよね?きっと。森下:そうです。基本はそういう流れですよね。住宅会社さまからすれば、「このひと土地を買ってくれないから提案しづらいな〜」と思ってたはず笑。でも、ぼくもその土地を買った時の間取りと予算感がわからないから、買ったほうがいいのか決められなかったんですよね。つまり、「この土地で理想の間取りの住宅を、予算限度内で建てられるのか?」も検討がつかなかったということです。その結果、その土地を買っていいのかどうか?も決めきれない状態が続きました。この時、サッとファーストプランとなる間取りを住宅会社さまからお見せいただけて、「この土地なら、こんな間取りができます」とお互い話すことができれば、お客さまの中でのモヤモヤも少なくなり、契約するかどうか検討しやすいのでは?と考えました。ぼくらmadreeを運営しているので、間取りのデータを大量に持っています。たくさんある間取りデータを使ってお客さまのモヤモヤを減らし、契約するかどうかを検討してもらえるサービスができるのでは?と思ったことがmadreeデータバンクをはじめたキッカケですね。お客様への間取り提案を難しくしているワケを分析しました。ーーーちなみに住宅会社さんが間取りを提案しづらい理由を聞いてもいいでしょうか。森下:ここまでは自分のお客さん体験なのですが、住宅会社さまの目線で見てなぜ間取りを提案しづらいのか?を考えました。理由は以下の2つだと考えてます。建築業界の高齢化間取りを描いてる時間がない1つ目は、高齢化建築業界全体の課題でもあるのですが、全体的に高齢化が進んでいます。まずは国土交通省が出している一級建築士の平均年齢データなのですが、50歳以上が全体の7割を占めています。20代はなんと1%。引用:建築行政に係る最近の動向 p.50 - 国土交通省次に、有効求人倍率。職業全体(グレー線)で見ると横ばいなのですが、建築業界(赤線)は2012年から10年で約3倍に。ハイペースで年々上がってますよね。新しい若い方の採用が難しい市場環境で、建築業界全体で高齢化が進んでいます。という背景もあり、あたらしい方を採用できず忙しさも増え、間取りを考えられる人の数も全体的に減ってきているのではないか?と考えています。引用:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)の参考統計表 - 厚生労働省2つ目は、間取りに提案スピードが求められるから2つ目は1つ目に起因する部分もありますが、忙しくて間取りを描いている時間がないと考えてます。特に間取りが必要な土地の契約シーンにおいては、1日2日でお客さまが決めないといけないこともあり、間取りを作成してから提案も考える時間が少ないですよね。もし考えていると、以下のような"間取りのムダ"につながりやすく、契約も取り逃がすことになります。人気のエリアなら、間取りを作っている間に土地が売れてしまいムダにローン審査時なら、間取りを作っている間に審査がおりずムダに丸1日かけて間取りを作ったが、結局他社に取られてしまいムダに住宅会社さまからすると、「せっかく作ったのに...」という気持ちだと思います。以上2つの理由から住宅会社さまは間取りが提案しづらく、その結果お客さまも検討しづらくなり離脱してしまい、契約を取りこぼしているパターンもあると考えています。マドリーの間取りを参考に、提案してほしい。人が足りてない現状と提案スピードが求められる場面において、毎回イチからヒアリング→間取りを作成→提案をすることは、厳しい会社さんが多いのではないでしょうか。そこでmadreeデータバンクを使っていただければ、要望をヒアリングしつつその場で「こんな感じでしょうか?」とマドリーの間取りを見せながら接客してもらうことができます。目に見える間取りにしてあげることで、「ここは理想通り!」「ここはちょっと違うな...」といったお客さまの声が聞きやすくなり、納得度の高い状態で次の商談に臨めます。上の写真は現にご利用いただいてる住宅会社さまで撮らせていただいた1枚です。初回接客シーンで活用いただいており、「次アポ率が高くなった!」とお声をもらえました。実際の数値は現在集計中です。お客さまから「吹き抜け、アウトドアリビングが欲しい」「キッチンはフルフラットがいい」など言われると思うのですが、その条件で検索し、参考レベルで間取りをお見せしてあげることで、担当者さまとの関係性構築や安心感につなげていただいてます。今はSNSもあることでお客さまのほうが間取りに詳しい場合もあり、トレンド感を捉えた間取りをお見せすることができることも喜んでいただけましたね。弊社はInstagramのフォロワーさんも多くいらっしゃるので、住宅会社さまにトレンド情報をお伝えしたりしています。どんな企業に向いてる?今後の展望は?ーーーうまく使ってくださっていてよかったですよね...!最後に、どんな住宅会社さまに向いているのか?あと今後の展望を聞かせてください。森下:いまは以下のような企業さまにご利用いただいてます。間取りが原因で契約につながってない住宅会社さま間取りを武器に契約者さまを増やしたい住宅会社さま営業マンさんが間取りを描き、お客さまに提案をする企業さまが多いです。兼任するような体制ですね。いざ提案のために間取りを描こうとすると、丸1日2日かかることもあります。それは0ベースから描いてるからであって、参考になる間取りがあるとスピード感が変わります。実際に「1日かかっていたところが、1時間で完成しました」と住宅会社さまより教えていただけて嬉しかったです。その分担当者さまも早く帰ることができ、家族とごはんを食べられるわけなので!また、展示場を運営されてるご利用企業さまではデータバンクを使ったイベントを実施したりもしました。実際に展示場へ来場くださった方に、展示場を見てもらいつつ参考間取りをご覧いただくイベントです。いざ間取りをフックに話してみると、「親の土地がある」「住み替えで悩んでて」といった話題につながり、話が広がる起点になりました。今後は間取り周りの業務も請け負えるように今後の展望は、まずはご利用会社さま向けにさらに使いやすくしていきたいです。すでにフィードバックをいただいており、以下のような機能を開発することにしました。例えば、いままで以上に検索した間取りで、接客しやすいようにする要望のヒアリング項目を拡充し、誰でも話題に繋げられるようにするマドリーのインスタグラムで取れるデータを共有し、トレンドを押さえてもらえるようにするなどなどです。このあたりをまずは実装したいです。さらにゆくゆくは、間取りの周りにある業務もテクノロジーでサポートしていけるようにしたいと考えています。例えば、住宅会社さまが提案のために建築家さんへ間取りやパースを依頼できるとか...。弊社は建築家のネットワークがあるので、住宅会社さまが必要としている業務を受けることもでき、建築家さんのお仕事も増やしていけたらと考えています。お客さまの満足度を高めつつ、住宅会社さまの売上も伸ばすためにーーー少しずつ利用くださる住宅会社さまが増えてきてよかったです。森下:そうですよね。間取りが原因で取りこぼしてたお客さまや、間取りを見せれば話が進んでたであろうお客さまと契約できるようになれば嬉しいです!madreeの間取りをフックにヒアリングをしていただき、お客さまの納得度や安心感も高まり、契約につながることで住宅会社さまの売上も良くなる。それを実現するために、できれば使い続けて欲しいです。初回接客から契約まで数ヶ月かかるので。じわじわと設計者と営業のスキルが上がり、商品力も上がっていきます。間取りの提案力やスピードが向上することで、最終的にいい家づくりになるとぼくは信じています。ーーー本日はありがとうございました!