住宅会社が行っている営業の仕事は、お客さまが「家を買う」という人生の一大イベントに関わる、とてもやりがいのある仕事です。しかし、営業職ならではの問題点や建設業の2024年問題などから、営業効率が思うように上がらず悩んでいる会社も少なくありません。当記事では住宅会社が営業効率を上げるための施策について、営業職の問題点や2024年問題などの背景とあわせて詳しく解説します。住宅営業とは?住宅営業の営業効率を上げるためには、まず仕事内容をしっかりと理解しておく必要があります。住宅営業とは具体的にどのような仕事をするのか、仕事の流れや営業の種類とあわせて紹介します。住宅プランニングのスペシャリスト住宅営業は、住宅プランニングのスペシャリストとしてハウスメーカーや工務店などに勤務し、戸建て建築の契約を結ぶ仕事です。家族のライフスタイル・希望の住宅像・予算などは、お客様によって大きく異なるため、きめ細かく打ち合わせをしながらお客様のご希望に沿った理想的な住宅をプランニングし、提案します。お客さまが住宅を購入する際には、営業担当者の印象や仕事ぶりで決めるケースもあるほど、住宅営業の仕事は契約と大きく関わっているのです。住宅営業の仕事の流れ住宅営業の仕事は、見込み顧客の集客から入居後のケアまで、お客さまの住宅購入全般に関わっています。広告媒体を見て興味を持ったお客様と商談を進め、住宅プランや予算といった要望を伺いながら、時間をかけてじっくりと話し合い、契約締結へとつなげていきます。お客さまは複数の住宅会社と並行して検討している場合が多く、営業マンの行動や姿勢によって契約締結の成約率が変わってくるものです。お客さまに信頼していただけるよう、営業マンは立ち居振る舞いに気を配る必要があります。さらに、住宅メーカーには10年間のアフターケアが法律で義務付けられています。そのため、住宅営業マンは成約して施工や引き渡しを行った後にもお客様と長く付き合うことになるのです。住宅営業の種類住宅営業は、住宅の種類や携わる仕事によって、主に以下の3種類に分けられます。注文住宅営業建売住宅営業リフォーム営業注文住宅営業注文住宅は、間取りや設備など決めるべきことが多く、お客様の要望をできる限り設計に取り入れる必要があります。営業担当者は住宅のプロとして最適な提案ができるよう、設計や工事担当者と綿密に打ち合わせを行わなければなりません。建売住宅営業建売住宅は、土地の場所や間取り・設備が既に決まっており、注文住宅に比べると物件情報を具体的にアピールしやすいという特徴があります。建築中もしくは完成後の物件を見学できるため、お客様も安心感を持って契約できるのです。リフォーム営業リフォーム営業は、住宅の修理・間取りの変更・設備の入れ替えなどのリフォームを提案する仕事です。建て替えよりもコストを抑えて希望の物件を手に入れられる点から、近年はリフォームの人気が高まっています。住宅営業が抱える営業職の問題点とは?住宅営業は仕事の性質上、さまざまな問題点を抱えており、特に以下の3つは深刻な問題として取り上げられます。長時間労働になりがちで離職率が高い膨大な知識を身につける必要がある属人化が起こりやすい長時間労働になりがちで離職率が高い住宅営業は業務が多岐にわたることで仕事の拘束時間が長くなり、結果として離職を選ぶことになる営業マンもいらっしゃいます。業務内容は、住宅建築に必須であるお客様との打ち合わせ・見積りやプランの作成をはじめ、住宅展示場での案内・建築現場の確認・部下への教育など多くのものがあります。これらを全て終わらせるとなると、必然的に長時間労働になってしまうのです。打ち合わせ時間はお客さまに合わせて決める必要があり、拘束時間が長くなることも考えられます。平日の夜の打ち合わせでは、日付が変わる直前まで話が続くケースも珍しくありません。決して効率が良いとは言えない飛び込み営業を行っている会社もいまだに残っています。これらの要因から、住宅営業はブラックな仕事であるとのイメージが強く、離職率の高さにつながっているのです。膨大な知識を身につける必要がある住宅営業に求められる専門知識も、住宅の工法や設計・不動産登記・税金・住宅ローン・建築技術・自社商品に関する情報・他社商品についての理解など、多岐に渡ります。また、顧客との良好な関係性を構築するコミュニケーションスキルやプレゼンスキル、成約につなげるための営業スキルなども必須です。これらのスキルを満遍なく身につける必要があるのが、住宅営業の仕事です。属人化が起こりやすい属人化とは、特定の担当者のみがお客様の情報や契約の進捗状況などを把握していて、他の担当者が対応できない状況を指します。業務が属人化すると、社内に営業ノウハウが蓄積されないだけでなく、一部の営業マンに業務負担が偏ってしまうおそれもあります。お客さまと営業マンの深い関係性は大切ですが、それによって属人化し、業務に影響を与える可能性があることを理解しておかなければなりません。建設業の2024年問題は住宅会社にも大きく関わっている建設業の2024年問題は、長時間労働を是正するための取り組みですが、住宅会社にも大きく関わる問題となっています。2024年問題とはどのような内容なのか、住宅会社に与える影響と合わせて解説します。建設業の2024年問題とは?建設業の2024年問題とは、建設業の労働環境を改善するために、時間外労働の上限規制を法律で定めることで生じる課題の総称です。建設業は時間外労働の上限規制導入に対して5年間の猶予期間がありましたが、2024年4月からはいよいよ規制が適用されます。適用後は、原則として時間外労働の上限が月45時間・年360時間まで(一部適用外条件あり)となるほか、月60時間を超える時間外労働に対する割増率も引き上げられます。2024年問題により、同じ業務をこなすのにこれまでより多くの人手が必要になり、現状の人材不足に拍車がかかると懸念されています。2024年問題が住宅会社に与える影響とは時間外労働の上限規制によって人件費が上がり、建築費に反映されると住宅価格の高騰を招くことになります。加えて、1日あたりの労働時間が今までよりも短くなり、人手が不足すると工期が長期化する可能性が十分にあります。建設業は、天候の関係で作業スケジュールが変わることもあり、人手不足と相まって長時間労働や休日出勤が常態化していました。この2024年問題によって長時間労働の改善は見込まれていますが、拍車がかかる人材不足への対応という新たな課題も生まれています。住宅会社が営業効率を上げるには?住宅会社が営業効率を上げ、働きやすい環境を構築していくには、さまざまな手段がありますが、ここでは以下の3つの取り組みを取り上げたいと思います。集客施策を行い営業効率を改善する業務効率化ツールを導入するお客さまの温度感に合わせた営業活動を行うそれぞれの取り組みについて理解を深めるために、詳しく解説します。集客施策を行い営業効率を改善するニーズが多様化している現代で、住宅の営業効率を上げるためには、適切な集客施策を打つ必要があります。営業と言うと、飛び込み営業やテレアポ・チラシ配りなどを想像する方も多いかと思いますが、営業先がターゲットと合っていなければ営業効率は下がるばかりです。それも自社のターゲットに合ったお客様へアプローチできると、「見込み客」として成約につながる可能性が高まるため、営業効率の高い集客施策を立てるといいでしょう。具体的な施策としては、SEO対策・リスティング広告・SNS・ポータルサイト・コンテンツマーケティングなどがおすすめです。業務効率化ツールを導入する住宅営業の業務負担と長時間労働を減らし、効率良く業務を進めるためには、業務効率化ツールの導入が有効です。なかでも、MAツールとSFAツールの2つを使い分けると、より効率を高められます。MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティングプロセスを一元管理するツールであり、見込み顧客の情報や自社ホームページへの流通経路・売上予測などを可視化できるものです。SFA(営業支援)ツールとも連携が可能で、マーケティングに大いに役立つでしょう。SFAツールでは、営業成績や営業活動などを可視化することにより、営業効率化を実現できます。スケジュールや日報の管理・見積書の作成など、お客様対応をスムーズにできる機能も特徴的です。また、時間がかかりやすい間取り作成業務は、短縮のために弊社が展開しているmadreeデータバンクを導入いただいている住宅会社もいらっしゃいます。初回接客時、トレンド感のある間取りを見せながら要望のヒアリングをすることで、関係性を深めることができます。設計と連携する場合も、ビジュアルで共有ができるので齟齬が減ります。お客さまの温度感に合わせた営業活動を行うお客さまの住宅購入に対する温度感は、問い合わせ状況やメルマガの開封率などで確かめることができます。お客さまの住宅購入に対する熱意やニーズは千差万別であり、接点を持った全てのお客さまに営業活動を行うのは効率の悪い方法です。それも受注の見込み度を可能な限り数値化し、温度感の高いお客さまを優先してアプローチをかけることで営業効率が改善されます。まとめ住宅営業の営業効率を上げるためには、業務効率化ツールの導入や集客施策の立案が欠かせません。お客様との打ち合わせなどのコア業務へ重点を置くために、当記事で紹介した対策を実行し、社内全体で住宅営業の長時間労働是正に取り組んでいきましょう。