建材高騰により一棟あたりの坪数をおさえたコンパクトな住宅が増加している昨今。一方、資金面で余裕があり、建物規模も大きくなる高価格帯の案件も一定数商談にはあがってきます。そんな大型案件はしっかりと契約に結び付けていきたいですよね。しかし大型案件は過去の施工事例が少ないことや、特殊なご要望があるケースがあり、提案が難しいと感じられている担当者様も多いのではないでしょうか?本記事では、高価格帯案件の間取りのヒアリング時に注意したいポイントをご紹介いたします。お打ち合わせのご参考にしていただければ幸いです。高価格帯のお客様が家づくりに求めているものとは資金面で余裕があるお客様の場合、建物の規模や設備のグレードなどお客様がどこに重きを置いて家づくりを計画されているのか見極める必要がでてきます。建物の規模を大きくしたい来客が多く、大人数で利用できる広さのLDKが必要であったり、ゲストルームが複数必要になるなど、普段はなかなかいただかない要望をお持ちの場合もあります。広さに対しての感覚がつかみにくくなるので、現在の住まいや参考プランを活用して広さを比較しながらお客様の求める規模感をつかんでいく必要があります。建物の質を高めたい建物規模自体は自身が生活する分に不足ないほどに抑えつつ、内装の仕上げ材や設備類のグレードを上げて建物の質の部分に重きを置く方もいらっしゃいます。全館空調やホームエレベーターの設置など特殊な設備を希望される場合も多いため打ち合わせの初期段階から細かな打ち合わせが必要になっていく場合もあります。趣味スペースにもこだわりたい例えば車好きでガレージにもこだわりたいといったご要望の場合、普段は仕上げ材など使わない場所もタイルで仕上げたり、照明も車を演出するように入れたりと細部にまでこだわられるでしょう。音楽が好きな方は、一般の住宅にはない防音性を高めたオーディオルームなを作ったり、音響効果の高い壁材、天井材などで仕上げることもあります。このように趣味に特化したお部屋を作りたいといったご要望も大型物件ならではです。高価格帯の案件で活用できる間取りとは?延床面積が大きい延床面積100坪を超える二世帯住宅や、将来的に賃貸住宅として資産運用する予定の間取りなど、延床面積の大きな間取りが提案時に参考になります。自社の施工事例と合わせれば提案のバリエーションが増え、ヒアリングの幅が広がります。参考例延床面積155坪の二世帯住宅の間取りです。日当たりや共有スペースをどのような意図で設計したのかも建築家のコメントから確認できます。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4970)ニッチなこだわりを形にした間取りmadree(マドリー)には、強い要望を持っていたり、間取りにこだわりたいと思っている方が多く登録されています。そういったお客様にご要望を詳しく入力いただいて作成しているので、ご要望の詰まった理想を形にした間取り提案となっています。こだわりポイントを抽出してご提案の参考にしていただけるかと思います。演奏会ができる、参考間取りご夫婦の趣味のスペースを詰め込んだ間取り。楽器演奏がご趣味にご主人はリビングでは仲間と集まって演奏会を開催されるそうです。防音面に配慮した設計となっています。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4762)高価格帯のお客様への間取り提案高価格帯のお客様は事例も少なくなり、担当者レベルでの経験値も少なくなってくるのでお客様のご要望の感覚がつかみにくくなります。そこで、延床面積が大きい間取りを参考プランとしてお見せしながら、どれくらいの規模感を目指すのかの擦り合わせを初回ヒアリング時に行っておくとズレを防ぐことができます。ヒアリング例:LDK同じ30帖を超えるLDKでも使い方の異なる間取りを参考としてお見せすると、納得度が高まります。それぞれの使い方をご説明し、お客様がイメージされている使い方、広さなどをヒアリングしていきます。参考間取り①リビング・ダイニング・キッチンをそれぞれ間仕切りで仕切れるようにした間取り。来客時にはキッチンなどを目隠しした状態で応対することもできます。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4762)参考間取り②LDKが一体の空間となっている間取り。フルオープンサッシでテラスとも一体となり開放感のあるLDKとなっています。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.2027)ヒアリング例:エントランスエントランスはその家の「顔」とも呼ばれる場所です。正面に坪庭を設ける、長い土間を配置するなど空間に広がりをもたせる演出なども設計の腕の見せ所ではないでしょうか。来客時に何人くらいで利用するかなどもヒアリングしながらお客様の好きなイメージを共有していきます。参考間取り①エントランス正面に坪庭のある間取り。視線が抜けることで奥行き感を演出します。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4959)参考間取り②客間に続く土間が特徴のエントランス。客間から土間~坪庭を眺めることもできゆったりとした客間空間の演出も担っています。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.1468)ヒアリング例:趣味室趣味のお部屋は自身の生活を豊かにする空間としてこだわりたいと思っている方が多いかと思います。何をする部屋で、どのくらいの広さが必要なのか。設置するにあたってどういった配慮が必要なのかを念頭に置いてご案内いただけると良いかと思います。各プランごとに建築家のコメントも掲載しているので、どういった意図をもって計画したのかも確認することができます。参考間取り①:防音室とよもぎ蒸し室楽器を演奏するための防音室とよもぎ蒸し室を趣味室として設けたプランです。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4762)建築家のコメント・防音室 コンクリート壁に囲まれた独立室を東側に確保しました。隣地側には窓を設けず構造的に防音に配慮したのに加えて、さらに部屋の内側を防音壁・吸音壁等の仕上とすると良いでしょう。廊下からは楽器庫を経由して入る動線も防音効果に一役買うと思います。・よもぎ蒸し部屋 趣味室として多用途に使えるように、南側の陽当たりの良い位置に配置しました。道具等がかなりの量になることも想定されるため、専用の物置を設けて利便性を高めています。ヒアリング例:外構計画車を複数台所有していたり、ゲスト用の駐車スペースが必要になるなど、外構計画にもしっかりとしたヒアリングが不可欠です。参考の間取りと外構図があると「うちはもう一台分くらいガレージが必要かな」などお客様もご要望を出しやすくなります。また、敷地にも余裕があることが多いため、庭が単純に土地の余白の部分になるのではなく、室内との調和をはかるための重要な要素になります。建物と広い庭が一体となるような提案ができるとよりお客様にご納得いただけるかと思います。具体的には、リビングダイニングの延長線上にテラスを設置するなど、広い庭との一体感がある間取りや設計です。一体感のある間取りや設計にすることで、リビングからの良好な眺めや季節の移り変わりを楽しめます。参考間取り①ビルトインガレージから雨に濡れずに玄関まで行けるアプローチの提案。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.4959)参考間取り②ウッドデッキやタイル、植栽など、しっかりと書き込まれた配置図を外構ヒアリングのたたき台として利用することもできます。(画像参照元:madreeデータバンク間取りNo.802)最後に大型案件でのご提案は詰め込む要素が多くなり、時間と労力がかかってしまうものです。しっかりと要点を抑えながらより精度の高いご案内ができるようになると、お施主様との信頼関係も構築しやすくなり、成約に近づいていくかと思います。本記事でご紹介した、参考の間取りやヒアリング時に注意したいポイントをお打ち合わせのご参考にしていただければ幸いです。