弊社が運営する「madree(マドリ―)」は、新築住宅を検討されている方々の中でも特に「間取り」にこだわりをお持ちの方から注目を集め、おかげさまで多くの会員様を獲得しました。間取り作成フォームに要望や敷地情報を入力すると、madreeの登録建築家が作成した間取りが届く、といったサービスとなっています。日々たくさんのご依頼をいただいており、「今」家づくりを検討している方のリアルなニーズが集まっています。 本記事では元住宅営業のマドリースタッフ山田が出産と育児のブランクを経て住宅業界に戻ってきた時に驚いた間取りのトレンドや新たな常識についてお話します。平屋ブームからコンパクトな間取りへ変化10年前 平屋間取りがトレンドに低金利や住宅ローン控除の充実、太陽光発電の売電価格固定など資金的に家づくりにとりかかり安い時代だったと思います。それも相まって割高にはなるものの平屋も建てられる世帯が多く、平屋ブームが始まったのではないでしょうか。2024年現在 無駄を省いてコンパクトに国からの補助金制度はあるものの、住宅ローン控除期間が短くなったり、ウッドショックによって建材価格が年々高騰しています。新築住宅を検討する際には、割高になってしまう平屋を建てることは難しくなり、より無駄を省いてコンパクトに暮らすという考え方が浸透してきているように感じます。(例:延床面積28坪の間取り)ダイニングをキッチンと一体化させて省スペースに抑え、ファミリークローゼットなど収納を充実させています。吹き抜けに面したワークスペースやデッキ付きの浴室などコンパクトながらも豊かに暮らせる間取りです。裏動線のある間取りが人気10年前 家事動線重視でキッチンや水回りをまとめた間取りキッチンと洗面脱衣室を隣接して設置し”ながら家事”がはかどるような間取りが人気だったと感じます。2024年現在 ウォークスルーのシューズクロークやパントリーが人気キッチンと水回りを近くに配置して家事動線を短くすることに加えて、最近では玄関からパントリーやファミリークローゼットへ動線をつなげた裏動線を設置したいとご要望をいただくことが増えたように感じます。マドリーインスタグラムの2023年・いいね数上位5プランもすべて裏動線のある間取りでした。インスタグラムを利用している方々は”見栄え”を気にする傾向があるので生活感を隠すことができる裏動線は特に人気があるのではないかと考えています。また、帰宅時に家族それぞれが荷物を片づけてくれてリビングが散らかりにくくなるという裏動線は、家族に「これ片づけて!」と声をかけるストレスが軽減される点も主婦目線でもとても魅力的で取り入れたいと思うお客様が多いのも納得できます。(例:2023年マドリーインスタグラム いいね数3位の間取り)土間収納からパントリーやファミリークローゼットへ抜ける裏動線のある間取りになっています。帰宅後の荷物や買ってきたものをしまいながらリビングへと進んでいくことができます。バルコニーは”いらない派”が多数10年前 バルコニーは事情がない限りはつけるのが一般的2024年現在 ライフスタイルに合わせてご提案するものにバルコニーは”いる派”と”いらない派”で世論が二分されている印象です。花粉症の方が多いことや、ドラム式洗濯機や衣類乾燥機が導入しやすくなったことも背景として、外に洗濯物を干す機会が減り、バルコニーは「いらない」と判断されるお客様が増えたのではないかと考えています。マドリーのインスタグラムで実施したフォロワーさんへのアンケートでは、いらない派が65%という結果となっています。いらない理由としては、掃除が大変花粉や虫対策で洗濯物は部屋干しまたは乾燥機を使うので不要建築コスト、メンテナンスコストを抑えるためといったご意見が多かったです。一方、いる派の方々はお布団や洗濯物は天日干ししたいおうちキャンプをしたい人目を気にせずにプールやバーベキューをしたいといった従来通りの使い方や、コロナ渦を経ておうち時間を充実させるための場所として使いたいといったご意見をいただきました。バルコニーいらない派のマドリースタッフAに聞いたところ、布団などの大物はコインランドリーを活用しているとのことでした。「布団は天日に干すもの」と思っていた私にとっては目からうろこのお話でした。一方我が家はキャンプ用品のケアのために天日干しが必須なので大きめのバルコニーを設置しています。バルコニーは「つけるもの」ではなく、お客様のライフスタイルに合わせてご提案するものに変化したと感じています。ランドリールームなど水回りが充実10年前 北側にコンパクトにまとめる水回りは浴室・洗面脱衣室・トイレの3点セットで北側にコンパクトにまとめるのが一般的だったのではないでしょうか。2024年現在 部屋干しから収納までスムーズに作業可能に上述のバルコニーいらない派が多くなっていることと連動して、ランドリールームの部屋干し設備を設置するなど、水回りを充実させた間取りが多くなっているように感じます。また、洗面所と脱衣室を分けたり、2ボウルの洗面化粧台を設けたりと、朝の忙しい時間帯にもスムーズに使えたり、お子様が成長されたあとも使い勝手が良いよう考えられた間取りが人気です。(例:2023年マドリーインスタグラム いいね数4位の間取り)洗面所、脱衣室、ランドリールームを分けることで家族がそれぞれの場所を別々に使用できます。また、お客様がトイレや洗面台を利用する際も、洗濯用品や衣類などは目につかないように脱衣室やランドリールームにしまっておくこともできます。ファミリークローゼット設置数の増加10年前 各部屋にそれぞれクローゼットを設置主寝室には2帖ほどのウォークインクローゼットを、子ども部屋には0.5~1帖ほどのものを設置するのが一般的だったのではないでしょうか。収納が足りない場合には納戸を設置することも多かったと思います。2024年現在 ファミリークローゼットも追加設置各部屋の収納はそのまま、またはやや規模を小さくし、それにプラスしてファミリークローゼットを希望する方が多くなった印象です。家族のものをまとめてしまえるファミクロは、洗濯物を各部屋にしまいに行く手間を省くことができるので、家事楽の間取りとして人気があります。効率よく洗濯物がしまえるようにランドリールームと直結させた間取りも人気です。また、クローゼット内部の棚やハンガーパイプも収納するものに合わせて細かく設置することが多くなったと思います。既製品の収納棚のセットなども充実しており、ただ空間を作るのではなく「どういう使い方をするのか」まで想定して計画されています。(例:2023年マドリーインスタグラム いいね数1位の間取り)玄関側の土間収納からも、洗濯物を干すサンルームからも両側からアクセスできるので、帰宅時の収納も、洗濯物の収納もスムーズに行うことができます。最後に全体的な傾向を見ると、「家事を楽に家をきれいに保つ」ための間取りに人気があるように感じます。共働き世帯の増加で、家事をする時間をより短く、家族で分担してこなしたいといった要望が強くなり、家事動線や帰宅動線を重視した間取りが多くなっているのではないかと感じています。ただ、ウォークスルーの裏動線やファミリークローゼットは”通路”部分が多くなるのですべて取り入れようと思うと床面積が大きくなってしまいます。水回りも用途ごとに部屋を分けて設置すれば床面積が大きくなります。実際に建築する際には、土地の条件や予算もあるので、どこまでが実現可能なのかうまく調整して折り合いをつける必要があるかと思います。弊社も発信しているインスタグラムを含めたSNS媒体によって、お客様はよりたくさんの情報を集められるようになり、トレンドの間取りを自身の家づくりにも取り入れようと考えていらっしゃいます。madreeデータバンク掲載の間取りは日々作成し追加されています。お客様のニーズを反映している最新の間取りを、自社でプランを作成する際の参考にしていただければ幸いです。